忘れないうちに書いておこう

タイトル通りの内容。

いわゆる難解な作品について、その他

 もう十数年は経ったであろうか。『マチウ書試論』と『共同幻想論』をはじめて読んだとき、なにが書いてあるのか、さっぱりわからなかったが、それを書いた人がなにかに怒っていることと彼には彼の事情があって、あるからくりを解き明かさねばならないことだけはわかった。それらにくわえ、あとひとつ、ぼくには彼のような怒りはなかったが、彼が対峙したものとは別の外観をまとった同型の問題を現在の社会も抱えている、というぼんやりとした感触はあった。

 

 前置きはこのくらいにして、本題に入ろう。アニメ『Sonny Boy』についてである。大雑把なあらすじとしてはある日、よくわからない世界にとばされた少年少女たち、あるものはそこに居つき、あるものは元の世界に戻る話である。しかし、厳密にはよくわからない。作品の中で元の世界が元である根拠は示されていたのか。ぼくが見落としているだけかも?

 映画『ビューティフルドリーマー』では夢邪気の存在が帰るべき世界があることをを保証した。

 いろいろとよくわからなかったのである。それにもかかわらず、どうして見続けたのか。おもしろかったということだろうけれど、理解できる範囲で理解して楽しかったということだろうか。

 中二病テイストがぼくにもはっきりとわかるように示されていたことは楽しめた要因のひとつかもしれない。いち例をあげよう。登場人物たちがもつ能力の解釈可能性はたぶん意図的に幅を持たせている。彼ら自身にも彼らの能力の正体が判然とはしていないのである。これぞ、中二病である。自分たちが何者であるか、何者になるのか、あるいは、なれるのか、そして、なりたいのか。それが自分でもわからない。で、それが不安、青春のもやもや。一応、青春期の悩みのひとつとしてそうものがあるということになっている。ぼくのような凡庸な中二病もちはそのように解釈する。

 ただ、これはやっぱり、中年になって過去を思い返したとき、そうであったような気がするという話かもしれない。いつのころからか、青春期というものはそういうことに拘泥するものなんだ、という物語が生まれ、一般に膾炙していった気がするのだ。近代小説だろうか。とすると、表現の仕方が豊かになっていくにつれ、様々な作品が生まれた、生まれている?『Sonny Boy』もその系譜に連なるという理解でいいのか、どうか。

 主題については以上。この流れに従って、次は表現に着目してみよう。と書いたところで、お手上げとなる。不思議な描かれ方をする漂流世界、比喩?表現の多用という特徴。ぼくはそこを視聴時、ばっさり落としてしまった。で、今になって思う。オーソドックスな成長物語であったなら、実は、表現のほうを楽しめばよかった、と。見直す時間が取れたら、比喩なのか、象徴なのかに気を付けてみたい。(比喩であるのか、象徴であるのか、区別がつかない場合があり、ぼくは途中で理解を放棄してしまったところもある。ただし、そこの読解を粘り強くやれば、もっと楽しめたのかもと思う。この混乱は作者には起こらず、視聴者にのみ起きる。表現の表出過程が視聴者には見えないからだ。)

 この点に妙にぼくがこだわってしまうのは、ご時世の影響かも。あることばが比喩的な意味をもち、それが混乱をもたらしているような状況を目にする。ゼロコロナとウィズコロナ。

 夏目監督の他作品にも関心がわいた。

 

 話は変わる。『エヴァ』以前に同じ作品を何度も作り直すという手法はあったのだろうか。『ひぐらし』シリーズもそうなのかと思って。同じような主題を反復することは過去作品にもあっただろう。三角関係ばかり書く小説家など、その他にもいろいろいそうなもんだ。『ひぐらし』は作品内でもループしているし、作品も何度もつくられている。なんなんだ、これは…

 

 ワクチン接種の進め方について

 日本政府のコロナ対策について大きな誤りがあったとは思わない。が、すこし見方が変わったところがある。イギリスではワクチン接種の進め方について、はじめにルールを決めて、そのルール通りに進めたと知ったからだ。日本は65歳以上にある程度の目途がついた時点で「職域接種」を始めた。

 効率と公正という二つの観点を設定してみる。

 日本のほうが効率的であったのか。

 イギリスのほうが公正であったのか。

 よくわからん。イギリスの方針をぼくは支持したい。ブースター接種?というものが始まる際、その点には着目する。2回接種がどの世代まで、どの程度、行き渡ったらブースター接種が開始されるのか。また、3回目は順番を変えるのか。順番を決めたら、その通りに進めるのか。

 サンデル先生の授業で扱われそうな問題。

 そういえば、コロナ禍でサンデル先生の授業を見たが、ワクチンにおけるナッジ?政策の是非を問うていた。中国、アメリカ、日本、あとヨーロッパの学生さんが参加していたのか、詳しいことはわすれたが、ナッジに反対したのは中国の学生だけだった。ワクチンは強制なので、そもそもその必要がない、ということか。ぼくの感想としてはめんどくせー世の中になりそうだなと思った。それと嫌味ではなく、賢い若者が多いな、ついていけそうにないよ…とも思った。

 ぼくはだいたいナッジなるものが嫌い。内容次第では、政府が余計なことをするな、大きなお世話だよ、ほっといてくれと思う。内容次第ではあります。