「作者の死」再考、百合作品の仮説など
①「作者の死」再考
宮崎駿さんが権威化する過程はぼくは実際にはリアルタイムでは体験していない。
押井守さんについては『スカイ・クロラ』をリアルタイムで見たので、時代の目撃者になるはずだった?なったのかもしれず。パンフレットも部屋のどこかに眠っているはず?あ、でも、ぼくは押井作品は『立喰師列伝』が好き。
庵野秀明さんについても同様で微妙にぼくはリアルタイムでの権威化の目撃者としては不適格になる。
で、今、ぼくは『進撃の巨人』の作者諌山創さんが権威化する過程の目撃者になっているか?
ネタバレ調査のために覗いたのは「進撃の巨人ちゃんねる」というまとめサイトという呼称であっているのかは分からないが、そこで、見た限りでは結末について賛意にあふれているわけでもなかった。ネット社会全体としてみるとどうなっているのだろう?(巨大掲示板は詳しいネタバレがありそうだったので、即閉じた。まあ、今は見ても大丈夫なのだけれど、見に行っていない。)
その前に確認事項として、ぼくはそこまで権威化自体が気になるほうでもないという意見は残しておこう。ぼくが気にするようなことではないと百も承知だが、商業上の理由で権威化が必要というのは分かる気がする。受け手のぼくとしても、必ずしもサブカルのど真ん中に関心があるわけでもないので、稼ぎ頭的存在の大きさに敬意を持っている。また、時代と才能がかみ合うなど、複雑な要因にも依拠していて、つくられた権威化がそううまくいくはずもないので、『進撃の巨人』についても同様で、この作品自体に力があったのいうが大前提なはず。
上記の監督たちの頃、ネット社会の風景はどうだったのだろう?今ほどSNSは発達していない?とすると、もっとマスメディアによる宣伝が重要だったのだろうか?
なんで、こんなことを書いているのか?実に、間が悪い話ではあるが、バルトやフーコーのいっていた「作者の死」についてすこしだけ興味がわいた。彼らの主張は文学的テキストの持つ特権性に対する批判であり、厳密に見れば、ぼくが目の当たりにしている事態とはすこし事情はことなるのかもしれない。ただ、作者還元主義によって権威化することで、読者の読むとか、見るとかいう行為の創造性が失われるのは面白くないという意味で、彼らの主張にもうすこし耳を傾けようという気になった。意外といるのだ。「作者が書いたものを素直に受け取れ」とか「文句言うなら見るな」みたいなつまらんことをいうひとが…
いやはや、以前からそういう意見が一定数あって、SNSの発達でそれが可視化したということなのか?まあ、ちょっとぼくにも見当はつかない。たしかにつまらない批判とかもあるし、ぼくの感想なんかも批判ではないが、面白くないところもあるとは思うけれど…
たとえば、過去干渉が示唆されたことにより、読者視点で物語が茶番化したみたいな見方はつまらない。たしかに、その見方に一理あることは認めるが、やはり、つまらない。なぜか?登場人物にとっては、かりに茶番化した人生であったとしても、そうは感じられないはずだからだ。読者は自分の見た物語が茶番であることも理解できるが、同時にその人生を生きているひとにとっては茶番でないことも理解できるだろう。そればかりではない。ぼくは知っている。いやみんな知っているはずだ。茶番の中にあってもひとは必死に生きる。これまで生きてきて、茶番のひとつやふたつを演じたことがないひとなんているわけがない。エレンにもその感覚はあったはずだ。
ただ、それでもモヤっとした読後感があるのも事実。別作品に夢中なので、これ以上書く予定もなし。
それはそれとして、何かについて語りたくなるみたいな衝動を抑え込むのってどうなんだ?つまらんぞ。
②百合作品に関する仮説
『安達としまむら』について
安達と島村の自己規定の性はおそらく女性。
でも、自己規定の性をどちらも、あるいはどちらかを男性に変えてみても整合性を失うことなく、物語が成り立つという仮説。
自己規定の性についてはもうどちらでも構わんのではとなる気がしなくもない。
ところが『かぐや様は告らせたい?』ではそうならんのでは?
思い付きで書いたが、その違いはなにに起因するのか?とか検討していくことで、百合作品の本質に迫れるといいなみたいな希望的観測。
この視点をもって、『やがて君になる 佐伯沙弥香について』を読んでみようかなと。
こんなことを書いておいて、なんだが、この仮説はそうそうにぽしゃる予感。
まず、自己規定の性にせよ、男女に差があって、百合作品の質感を生んでいるという直感のほうが正しそうだから、とはいえ、ものは試しだ。
あともうひとつなにか書く予定だったが、忘れた。
思い出した。
③今期のアニメ
2作品かタイトル段階で脱落。もう1作品は理由は明記しないが、脱落。まあ、いいか。くそげー過ぎて、直接は関係ないが、見るもんかってなったのがひとつ。1期を見ていないというのが主な理由ではあるが…
道で拾うのは100円玉だよね?というか、今どき道で拾えるようなものは落ちていない気がするな。とか書くとなんだか、ずれちゃうのだが、タイトルって大事なのではないかと受け手のぼくが思った。
『86』しばらく見てみようと思う。
『Vivy』同上
『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』同上
『スーパーカブ』、『美少年探偵団』は見る予定。