忘れないうちに書いておこう

タイトル通りの内容。

こんな雨の日には特にすることもなく(『リズと青い鳥』に関するメモ)

 ということで『リズと青い鳥』について書いていこう。

 他の方の同作品の感想を読んで、はっとした。ぼくはまったく気づかなかったというか、気にならなかったのだが、言われてみると、たしかにこの作品もなにも劇的なことは起きない。人によっては映画的な展開がないと思うのかもしれない。

 しかし、張り詰めた緊張感の持続はあったように思う。

 たしか、13分ころの会話劇から始まる一連の流れがこれからのふたりに訪れる結末を暗示し、その推移を見る側は息をのんで、見つめていくことになる。そうだ。気づくと、息をするのを忘れるくらいに、こちらまで緊張を強いられるのだ。

 ひとつの聞き洩らしも、見逃しも、惜しいと思える映画はぼくにとっては稀有で、それゆえ、この作品を見ると人間を止めたくなってくる。疲れるので…

 

 で、3回目を見たら、書こうと思って、メモをしたのだが、先週の片づけか、どうか知らないが、ともかく、メモを捨ててしまったようだ。なので、今日はまだ記憶にあるものをメモがわりに残しておく、というだけでは芸がないので、せっかくなので、その緊張感に関連させて、お話をすすめよう。

 

 登場人物たちの会話により生まれる緊張感

 3回目でわかったのは

 会話がかみ合わないふたり組とかみ合うふたり組

 かみ合わないとき、無意識にそうなっている場合と意識的にそうなっている場合。

 

 主人公であるふたり、傘木希美×鎧塚みぞれ

 傘木希美と鎧塚みぞれの会話は最後までかみ合っていない。終盤まではおそらく無意識にかみ合っていない。ラストの大好きのハグのシーンでようやくかみ合いかけた、そのとき、希美はわざとずらしてしまう。それでも、肝心なところは伝わっている感じ。

 

 新山先生×傘木希美

 無意識にかみ合っていない。新山先生はよくわからない。ぼくは視聴2回目まで誤解していたのかも、新山先生は希美が音大を受験したら、当然、合格すると思っているのかもしれない。

 

 3回目、見直して気づいたのは、上記以外の組み合わせは会話がかみ合っていた。

 傘木希美×剣崎梨々花

 傘木希美×中川夏紀

 傘木希美×吉川優子

 傘木希美×中川夏紀×吉川優子

 鎧塚みぞれ×剣崎梨々花

 鎧塚みぞれ×中川夏紀

 鎧塚みぞれ×吉川優子

 鎧塚みぞれ×新山先生

 

 こうしてみるとかみ合わない会話が際立つように工夫されていたのか、と思う。で、そのかみ合わなさがふたりの結末を予感させるので、ハラハラするのかも。

 加えて、会話から見えてくる関係性のおもしろさ。鎧塚みぞれは大体、生徒同士なら、だれといても妹のようなポジションなのに、剣崎梨々花との関係においては、例外的にみぞれが姉で、梨々花が妹のように見える。

 また、傘木希美×中川夏紀×吉川優子の関係性はおもしろい。卒業してから、ずっとこんな感じが続く?みぞれを心配する優子が希美に厳しくなり、その圧の緩衝材たろうとしている夏紀みたいな。不思議なもんだ。

 

 ここで、さらに「才能」要素がからんで、さらに、関係性が緊張してくるのだろう。上記で少し触れたが、もしかしたら、傘木希美の才能に新山先生は気づいていたのかも。だとしたら、新山先生は希美の幼い部分には気づいていないので、みぞれの心配ばかりしていることになる。いずれにしろ、こういうふうに先生を描けるってすごいと思う。

 

 こういうのを見ているとおもしろいんだけど、疲れる。ぼくも緊張して、見ているのだろう。

 

 だれ視点なのか、について

 ところどころで映像の視点が切り替わる。これも、見る者に集中力の持続を要求する。あらためて、見てきづいたのは、希美、みぞれだけではなく、新山先生、高坂麗奈の視点のものがあった。また、そこまで断言ではできないが、剣崎梨々花とおぼしきものもあり。

 この視点の切り替えで特筆すべきは、希美のフルートの反射光が意図せず、みぞれを照らすところだろう。くどいといえば、くどく、画面を過剰にコントロールできる点はアニメーションの魅力なのか、どうか、判然とはしないけれど、ぼくはこのシーンが好きだ。みぞれがふと視線を外した瞬間に希美が消えているところ、好き。

 

 あと、なんかもうひとつくらいメモしたはずだけど、忘れた。なんだったか??

 まあ、いいか。

 

 冒頭の話に戻ると、映画的な展開を期待するなら、最後に演奏会のシーンとかになるのだろうか?でも、そこをやらなかったから、この作品を好きな気がする。さー今から最高に盛り上がる場面ですよーって感じではないので。見せ場らしい見せ場がなくても、これだけ見るものを疲れさせるってすごい。

 

 このお話はもうすこしちゃんとした文章に直したい。3か月後くらい?

 

 全然関係ないけど、希美がみぞれに「なぜ疑問形?」といっているけど、この語尾を↑にするのはぼくもよくやってしまう?書きことばでも、話しことばでも。「なぜ疑問形?」と聞かれると少し困るのだが、若干、疑問があるからだよ。

 

 

 思い出した。

 冒頭、13分頃の時点で、たぶんふたりがそれぞれに思い浮かべている結末には変わりはない。ただし、その結末(本番)は希美にとってはハッピーエンドで、みぞれにとってはバッドエンド。これが見ている方にはわかるので、序盤からグイグイ来てる圧を感じるのだろう。