忘れないうちに書いておこう

タイトル通りの内容。

良い文学

 悪い文学というものはないと思う。

 良い文学についてあると思う。それは読者に自分「だけ」が著者の言ってること分かるぞと錯覚させることのできるもの。どの著作かは忘れたけれど、こんなことを吉本隆明は言っていた。その通りだなと思う。

 ただ、これが近頃は非常に感じづらくなっていると思える。ネットで書名+感想とかで検索をかけると、無数のだれかの感想を目にすることができる。すると自分と同じような感じ方をする人はけっこういるものだと気づいてしまう。他者と似たり寄ったりな感想をもつにいたることは考えてみれば当たり前なのかもしれないが、読者の自分「だけ」の錯覚のようなものは文学に触れる大事な動機と私には思える。

 しかし、これも取り越し苦労だろうか。文学をそもそも必要とする人は世の中にどれくらいいるのか。「国民文学」、「国民作家」という言葉はその実、国民が知っている文学作品、作家くらいの意味合いでしかないのでは。まっとうに生きている人はきっと文学などなくても、生きていけるはずで、そういった道を歩めなかった人にこそ文学が必要なのではと思うのだ。安岡章太郎の『陰気な愉しみ』を誰もかれもが面白がったら世の中おかしなことになってしまう。と思いつつも、そうでないような気もしてくる。そんな私の文学観はひどく不健康なものだろうか。

 なにがライトなのかは知らないけど、ライトノベルを読んでみたい。